【会話でサクッと】映画『チップス先生さようなら』あらすじと感想。戦間期に作られた反戦映画の名作

映画

 

『チップス先生さようなら』あらすじと感想

(この記事は作品のネタバレを一部含みます。)




 

【今回の映画】 チップス先生さようなら (1939年 イギリス)

 

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キネガー船長

フィルくん、11月11日が何の日か知ってるかい?

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フィル

なんだろう、ポッキーの日くらいしかわからないです。

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キネガー船長

多くの人がポッキーの日と答えると思うけどね。
実は、11月11日は第一次世界大戦が終結した日なんだよ。

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フィル

そうだったのか。1918年に終わったことは知っていたけど、日にちまでは知りませんでした。

ポイント1914年に始まった第一次世界大戦は、1918年11月11日にフランスのコンピエーニュの森で休戦協定が結ばれ、イギリス・フランス・ロシア・日本などの連合国が勝利し、ドイツやオーストリア=ハンガリー帝国といった枢軸国は敗北した。

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キネガー船長

1918年に終わって、今年は2018年。つまり、終戦100年を迎えるんだよ。

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フィル

節目の年だったのか。じゃあ今回紹介する映画は第一次世界大戦をテーマにしたものなんですね。

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キネガー船長

そう、今回紹介する映画はこれ。

 

作品概要

チップス先生さようなら (原題:Goodbye,Mr.Chips)
製作年:1939年 製作国:イギリス 上映時間:113分

あらすじ
イギリスの、とある全寮制のパ ブリック・スクールに、真面目で物堅いチップス先生が赴任してきた。チ ップスはおもしろみがなく、生徒たちの人気も今ひとつ。だがキャサリンと出会い、結婚したことから、少しずつ人間味のある教師に変わっていく。やがて態度も柔軟になり、生徒からも慕われる有名な先生になっていった。愛妻キャサリンが亡くなり、かつての教え子たちも出征した第一次世界大戦を経た今、 年老いたチップスは、学校の門前に住み、 生徒たちの顔を見ながら余生を過ごしていた…。
(出典:Amazon)
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フィル

あらすじを読む限り、第一次世界大戦そのものを扱った作品ではないんですね。

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キネガー船長

この作品の舞台が第一次世界大戦前後というだけで、戦場を直接的に描写した作品ではないけれど、戦争の悲惨さを間接的に表現している名作なんだ。

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フィル

チップス先生という学校の先生が主人公なのか。

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キネガー船長

そう、新任教師として赴任した若きチップスの生徒とのふれあいや旅先で出会った女性との恋愛、戦争による苦悩などを描いている。作中でチップス先生もだんだん年を取っていき、ベテラン教師としての貫禄が出てくるよ。

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フィル

ということは、たくさんのチップス先生が出てくるんですね。

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キネガー船長

青年期、壮年期、老年期のチップス先生が登場する。でも、すべて同じ役者さんが演じているんだよ。

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フィル

それは面白い。具体的にはどんなお話なんですか?

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キネガー船長

ときは普仏戦争の真っただ中にある1870年のイギリス。チップスことアーサー・チッピングは、憧れの学校で新任教師として働き始めるよ。

チェック!普仏戦争 (1870~71年)
ドイツの統一を目指すプロイセンと隣国に強大な国家が出現することを恐れたフランスとの間に起きた戦争。プロイセンは軍制改革が進んでいたことや、クルップ社製の大砲が活躍したこともあり、終始優位に戦いを進める。フランスはセダンの戦いで降伏し、皇帝ナポレオン3世(ナポレオンの甥)が捕虜になったことで、フランス第二帝政は崩壊した。
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キネガー船長

胸を高鳴らせながら初めての授業に向かうチップスだけど、待っていたのは生徒たちのイタズラという名のおもてなしだったんだ。

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フィル

学園もの映画のあるあるネタだ。

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キネガー船長

チップスは厳格な態度を取ることで生徒たちを抑えつけるけど、そのせいで生徒との間に深い溝ができてしまうんだ。

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フィル

うーん、生徒との向き合い方って難しいですね。

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キネガー船長

それから少し時が経って、チップスは壮年の教師になる。相変わらず、生徒たちはチップスに対し、どこかそっけない態度。また、チップスは将来校長先生になるのが夢だったんだけど、舎監(寄宿舎の監督員)になるという出世のチャンスも逃してしまうよ。

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フィル

さんざんですね。

運命の出会い

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キネガー船長

見かねた同僚のドイツ人教師マックスは、チップスを旅行に誘う。渋々つきあうチップスだったけど、旅先でキャサリンという女性と運命の出会いを果たす。二人はお互いに惹かれ合い、ついには結婚することになるよ。

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フィル

ロマンチックな話だ。

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キネガー船長

キャサリンの朗らかな性格は、チップスの教師人生に大きな変化をもたらしたよ。いつしか、チップスは授業で冗談を言うようになり、生徒たちに愛される教師へと成長していくんだ。

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フィル

まさに運命の出会いだったんですね。

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キネガー船長

しかも、チップスは舎監に選ばれ、校長になる夢へと一歩近づくことになるんだ。キャサリンも自分のことのように喜び、「校長になる夢もいつか絶対に叶う」とチップスに語りかけるよ。

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フィル

いいことは連鎖するんですね。

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キネガー船長

そうだね。だけど、残念ながら幸せな時間は長く続かない。明言は避けるけど、チップス夫妻に不幸が訪れることになる。チップスはひどく落ち込んでしまうよ。

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フィル

ああ・・・。

戦争の足音

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キネガー船長

時は流れ、チップスは威厳のある立派な老教師になる。
「南アフリカ戦争(1899~1902年)」「ヴィクトリア女王の葬儀(1901年)」、「海峡横断(1909年)」の話をしていることから、時代は20世紀初頭に移ったことがうかがえるね。

ポイント南アフリカ戦争 (1899~1902年)
南ア戦争、ブール戦争ともいう。イギリスはダイヤモンドや金といった資源を獲得する目的で、アフリカ南部のトランスヴァール共和国、オレンジ自由国を侵略。イギリスは両国の征服に成功するも、予想以上の兵力の疲弊から自国の軍事力の限界を悟り、1902年の日英同盟の締結につながったとされている。

ポイントヴィクトリア女王 (在位 1837~1901年)
ハノーヴァー朝国王ジョージ3世の孫。64年の治世はヴィクトリア時代と呼ばれ、イギリス帝国の黄金時代を築き上げる。イギリス史上もっとも繁栄した時代となった。1877年からは初代インド皇帝も兼ねた。1901年に崩御したあとは、長男のエドワード7世が即位した。
ポイント航空機によるドーヴァー海峡の初横断 (1909年)
ドーヴァー海峡は、イギリスとフランスを隔てる海峡。英仏海峡ともいう。最狭部で約34キロ。1909年、フランス人のルイ・ブレリオが世界で初めて航空機によるドーヴァー海峡の初横断を果たした。
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キネガー船長

学校の近代化を図る校長は、古い思想を捨てられないチップスに引退を促すけど、生徒や教師陣が猛反発したため、彼は在任することになるよ。

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フィル

もはやチップスは学校になくてはならない存在となっていたんですね。

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キネガー船長

だけど、1914年にチップスはついに引退を表明するよ。校長になるという夢は叶わなかったけど、愛おしい生徒たちに囲まれた素晴らしい教師生活となったんだ。

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フィル

いやあ、なんとか綺麗に終わってよかった。

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キネガー船長

いや、これから物語は急展開を迎えるよ。
その日はチップスにとって、教師の引退という大きな転換期となったけど、世界の歴史もまた、大きく舵を切ろうとしていたんだ。チップスは教師を引退したその日に「オーストリア皇太子夫妻がセルビアのサラエボで殺害された」というニュースを耳にするよ。

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フィル

それって・・・。

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キネガー船長

そう、第一次世界大戦の引き金となったサラエボ事件だね。こうして、世界は戦争へと突き進んでいくんだ。

ポイントサラエボ事件 [サライェヴォ事件] (1914年)
1914年6月28日、オーストリア帝位継承者のフランツ・フェルディナンド皇太子とその妻が、ボスビアのサラエボでセルビアの青年に殺害された事件。この事件を機に、オーストリアはセルビアに宣戦布告。参戦国が拡大し、第一次世界大戦へと発展した。
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フィル

なんだか嫌な予感しかしないなぁ。

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キネガー船長

戦争には若い兵士が必要だ。チップスの教え子の生徒や同僚の教師までもがイギリス兵として、次々と出征していくよ。以前、チップスを旅に誘ったドイツ人教師のマックスは、イギリスの敵であるドイツ側に立って戦うことになるんだ。

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フィル

ちょっと前まで教師と生徒の関係だったのに、いきなり銃を向け合うことになるのか。戦争ってやっぱりおかしいですね。

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キネガー船長

この先はぜひ作品を観て、戦争の愚かさを実感してほしい。チップスが学校の礼拝堂で戦死者名簿を読み上げるシーンは、なかなか胸に来るものがあるよ。

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フィル

気になったので、いまから観てきます。

 

しばらくして・・・

 

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キネガー船長

どうでしたか。

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フィル

感動しました。特に、チップス先生が床(とこ)に臥しながらつぶやく最後のセリフは非常に印象的でした。

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キネガー船長

そうですね。儚くも美しい終わり方だったと思います。

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フィル

題名が「チップス先生ありがとう」ではなくて「チップス先生さようなら」なのもなんだか一層の儚さを醸し出している気がします。

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キネガー船長

たしかにそうですね。

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フィル

あと、なんというか、ドンパチ撃ち合うだけが戦争じゃないんだなと感じました。

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キネガー船長

戦場でも悲劇的な光景が広がっているんだろうけど、銃後の世界にもまた、戦争の悲惨さが映し出されるんだね。
ちなみに、この映画が公開されたのは1939年の5月だ。1939年に起きた最大の出来事はなんだかわかるかな?

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フィル

たしか、第二次世界大戦が近かった記憶が。

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キネガー船長

そうです。第二次世界大戦の勃発は1939年の9月。まさにすぐそこまで戦争が迫っているときに作られた反戦映画なんだね。開戦の数カ月前ともなると、戦争が近いと感じている人もいたんじゃないかな。
この作品は、人々に警鐘を鳴らす意味で作られたのかもしれないね。

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フィル

でも、戦争を避けることはできなかったんですね。

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キネガー船長

残念ながらね。逆に、現代において平和な時代を何十年も維持するということは、実はすごく難しいことなのかもしれないよ。

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フィル

授業の教材にもなりそうな作品ですね。

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キネガー船長

そうだね。
この作品には戦闘シーンはなく、戦争の惨(むご)さを強く訴えるセリフもない。けれども、戦争の虚しさを見事に表現しており、混とんとした戦間期の作品であるからこそ、一層の説得力があるんだ。また、教師と生徒がともに成長し合う学園ものの元祖ともいえる。平和が当たり前だと思ってしまういまこそ、多くの人に観てほしい作品ですね。

 

 

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