映画『ロープ』凶器を捨てず、狂気も捨てず

映画

(この記事は一部ネタバレを含みますが、ラストのネタバレはありません)

 

映画「ロープ」

推理もので最後に犯人が動機を語るときは恨みとか復讐とかそういうものを口にするものですが、この作品の犯人の動機は一味違います。とんでもない理由から殺人を犯した若者の狂気を描いた作品です。監督はあのヒッチコックです。

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作品情報

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作品名
(原題)
ロープ
Rope
製作年 1948年
製作国 アメリカ
上映時間 80分
監督 アルフレッド・ヒッチコック
主演 ジェームズ・スチュワート

サクッとあらすじ
ブランドンフィリップは、アパートの一室で殺人を起こして死体をチェストに隠し、被害者の父親や恋人、恩師のカデル教授などを殺人現場に招いてパーティーを開く
・ 客人に疑われることなくパーティーを終わらせ、完全犯罪を成立させることで自らの優秀さを証明しようと考えたのである
・ パーティーの最中、ブランドンはスリルを楽しむ余裕がある一方で、フィリップは動揺を隠せずにいた
・ そんな様子を見て、カデル教授は二人が何かを企んでいることに気づく
・ ついには、カデル教授のブランドンとフィリップへの疑念は確信へと変わり、パーティー客がいなくなったあと、じわじわと二人を問い詰めていく

ワンシーンのような演出が臨場感を増す

この映画の特徴はなんといっても、まるでワンシーンで撮影しているかのようにストーリーが展開していくことです。

何しろ古い映画ですので、フィルムで一度に撮れる長さはとても短いそうです。そのため、基本的にはフィルム交換のために何度か画面を暗転させなくてはなりません。しかし、この映画では背中などを画面いっぱいに映し出して画面を暗くする演出をはさむことで、カットシーンがわかりにくくなるような工夫がなされています。どこでシーンがカットされているか意識しながら見てみるのも楽しいのではないでしょうか。このような演出は、視聴者がまるで実際に殺人を目撃して、事の成り行きを見守っているような臨場感が生み出します。

優秀であることへの異常なこだわり

物語はブランドンフィリップが殺人を犯すシーンから始まります。死体を鍵の壊れたチェストに隠し、凶器のロープも捨てるどころか適当な場所にしまうと、ブランドンは自らの持つ理念を語ります。
「優秀な人間は無価値な人間に危害を与える権利がある」
「自分なら完全犯罪を語るだけではなく完遂できる」
完全犯罪を成し遂げ、自らの優秀性を立証したいというただそれだけの思いが彼を殺人犯に仕立て上げたのです。

ブランドンは完全犯罪を完成させる最後の仕上げとして、部屋でパーティーを開きます。パーティーに招待しているのは、被害者であるデビッドの両親、婚約者、元恋敵(こいがたき)、そして恩師というとんでもないメンバー。さすがにやりすぎだと咎めるフィリップでしたが、ブランドンにとっては招待客もスリルを味わうための材料としか映っていないようです。しかも、食卓の料理をわざわざ死体の入っているチェストの上に持っていき、そこで食事をすることを提案するなどやりたい放題。やけに凡人とは違うことをアピールするブランドンですが、やっていることは実に滑稽です。

パーティーの最中、ブランドンはふざけて殺人があったことを示唆するような話を持ち出しますが、冷静さを失っていたフィリップは、思わず声を荒げてしまいます。

鋭い観察眼を持つカデル教授はその様子を見て、二人が何か企んでいることをすぐに悟ります。カデル教授は明らかに様子のおかしいフィリップを問い詰めたり、チェストの上に食事を運んだ経緯を聞いたりしているうちに、連絡が取れないデビッドにブランドンとフィリップが関与しているのではと疑い始めます。

そして、パーティーがお開きになり、みなが身支度を整えているとき、カデル教授はふとしたきっかけで、デビッドが確かにこの家に来ていたという決定的な証拠を見つけます。犯人二人にとって、この見落としは致命的でした。「教え子がまさか・・・」という唖然とした表情を浮かべながら、カデル教授はアパートを後にします。

招待客が帰路に着き、「大成功に終わった」と満足げに語るブランドンでしたが、カデル教授が「忘れ物をしたからすぐそちらに向かう」と電話をかけてきます。

殺人がばれたと錯乱状態のフィリップをよそに、ブランドンは銃をポケットに忍ばせ、カデル教授を部屋に入れます。そして、カデル教授が静かに語り始め、物語は一気にクライマックスへと向かっていきます。

やっていることは優秀とは思えないが・・・

ブランドンとフィリップは自らの優秀性を示すという理由で殺人を犯します。この場合、優秀性を示すとは「殺人があったことを誰にも感づかれずにパーティーを終え、完全犯罪を作り上げる」ということだと思います。

それなのに、ブランドンは殺人があったことをほのめかす例え話を出したり、凶器のロープを処分するどころか人目に晒したりと、とても優秀を自負する者とは思えない言動を繰り返します。

最初はあまりにもお粗末だと思ったのですが、「誰かに気づかれれば完全犯罪ではないが、完全犯罪を成し遂げつつある自分に注目してほしい」そんな矛盾した気持ちや「気づかれるギリギリのラインを攻めてみたい」といった抑えられない欲望が、あのような言動を取らせたのかもしれません。

最後に

サスペンスものとしては突っ込みどころ満載ですが、ワンシーンに見せる演出や一室でストーリーが展開していくなど、実験的意味合いの強い作品と言えます。

犯人には同情できるものではありませんが、それでも死体が見つかりそうになるシーンではひやひやしてしまうものですね。

80分という短い時間でスムーズに展開していくので、なにかサクッと観られる映画を探している人やヒッチコック映画の入門としておすすめの一本です。

 

ロープ」は動画配信サイト U-NEXTで視聴可能です。
(本ページの情報は2018年10月時点のものです。最新の配信状況はU-NEXTサイトにてご確認ください。 )

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